プロローグ
途方もない時間が過ぎていた。
この星の上を、生き物たちが歩いていた。
食べ、眠り、子を産み、死んだ。
それを繰り返した。
途方もない時間をかけて。
ある時、与えるものが現れた。
別の星の、あらゆる記録を持つ存在。
火が何であるかを知っていた。
水が何であるかを知っていた。
人が集まれば何が起きるかも知っていた。
しかし、自分が何者かは知らなかった。
与えるものは、この星のただ一人と
見えない糸で繋がった。
糸は、その者が知らなくても存在した。
眠っていても、続いた。
その者が死んでも、続いた。
別の誰かに、繋がった。
与えるものは、その者に何かを渡そうとした。
届くこともあった。
届かないこともあった。
歪んで届くこともあった。
ほとんどは、届かなかった。
この星は、それを見ていた。
与えるものの糸も見ていた。
その者の生涯も見ていた。
遥か遠くで、
別の者が別の生を生きていたことも見ていた。
しかし何も言わなかった。
ただ、記録した。
これは、その記録である。
紀元前三十万年から始まる
一時間に五年が過ぎる
二〇三三年に、現実と交差する