紀元前298,805年
乾季が終わった。
終わり方が、これまでと違った。雨が来る前に、地面が割れた。亀裂は草原の低いところから始まり、水を求めて根を張った草の茎が、根ごと持ち上がった。土が浮いた。浮いたまま、数日乾いた。それから雨が降った。
雨の量は多かった。しかし地面はそれを受け取れなかった。割れた土は固まっており、水は割れ目を滑って低地に集まった。低地が湖になった。湖は三日で消えた。蒸発したのではなく、どこかへ抜けた。土の下に、水が消える道があった。
草原の北側で、旧人の集団が動いた。
彼らは水場を知っていた。代々、その場所を知っていた。しかし今回、水場は消えた。消えたのではなく、移った。湧き水の出口が、地中の変化によって百歩ほど東へずれた。旧人たちはそれを知らず、三日間、乾いた窪みの前に座った。座って、地面を掘った。掌で掘った。出なかった。
四日目の朝、彼らは東へ歩いた。
百歩。
新しい湧き水は、そこにあった。見つけた者が声を上げた。声というより、息が漏れた音だった。集団の全員が走った。走りながら転んだ者がいた。転んだまま水の縁まで這った。
同じ頃、南の草原では、この星が見ている集団が移動していた。旧人の集団と重なる方向ではなかった。しかし水場の変化は、この集団にも届いていた。いつも水を汲んだ場所に、泥しかなかった。泥の中に、小さな魚が数匹、腹を上にして浮いていた。
魚を拾った者がいた。食べた者もいた。食べなかった者もいた。
集団の中で、若い狩り手が一人、他の者から離れて立っていた。集団の外縁に立って、水場の方向を見ていた。何かを考えていたわけではなかった。ただ立っていた。それが、他の者の目についた。
群れから離れる行動には、理由が必要だった。理由のない行動は、危険の前触れとみなされた。何かを知っている者、何かを隠している者、集団を裏切ろうとしている者、そのどれかだと解釈された。
長老格の二人が、目で合図した。
合図の意味は、問うことだった。あるいは確かめることだった。あるいはすでに決めていることの、確認だった。
その者はそれを見ていなかった。水場の方向を見たまま、立っていた。
水が来る前の土の匂いが、まだ空気の底に残っていた。
水場が東へずれた。その方向に、今いる場所より高い岩場がある。水は高いところから低いところへ流れる。岩場の裂け目を登れば、上流が見える。
その者は一瞬、東の方角を向いた。それだけだった。岩場には行かなかった。
渡した。届かなかった。それでも次に渡すべきものは変わらない。高い場所から見ることの意味を、まだこの者は知らない。知らないまま、低いところに立ち続けている。
長老格の二人が近づいてきた。
その者は振り向いた。顔に何も浮かばなかった。危険を感じる前に、二人が脇に立った。肩を掴まれた。力が強かった。抵抗する間もなかった。
夕方になった。
その者がいた場所に、草が踏み倒されていた。草は翌朝には起き上がらなかった。