紀元前297,485年
雨が長く続いていた。
断続的ではなかった。降り始めてから、空が干上がるということを忘れたように、雨は地面を叩き続けた。始まりの大地の西側、なだらかな丘が連なる場所では、土が飽和して色を変えた。赤茶けた乾いた表面が消え、黒い層が露わになり、そこから草が急いで伸びた。伸びた草にまた雨が降り、根が張る前に倒れた草が腐り、腐った草がまた土に戻った。そのひと回りが恐ろしく速かった。
川が太った。
前の季節、岸の石が干上がって白くなっていた場所まで、水が来た。来たまま退かなかった。岸辺の獣の踏み跡は泥に沈み、新しい踏み跡がその上にまた押されては消えた。水辺に動くものが増えた。大きい足跡、小さい足跡、爪のある足跡、ない足跡。朝と夕方とで踏み跡の種類が変わった。夜に来る者たちがいた。
東の丘の向こうでは、別の集団が動いていた。
人の数が増えていた。増えた人間は空間を必要とした。子どもの声が遠くに聞こえた。火の煙が朝に二本、三本と立った。ある日の夕方、丘の頂に立った影が、下を見ていた。長い時間、動かなかった。それから消えた。
この星は知っていた。豊かさは境界を動かす。
始まりの大地の北では、草原が草原のまま広がり、獣の群れが移動していた。群れの後ろを小さな肉食獣が追った。追い疲れた一頭が草の中に伏せ、群れが遠ざかるのを見ていた。空が雲で覆われ、雨がまた来た。肉食獣は動かなかった。濡れたまま、じっとしていた。
南では、海岸線が内側に押されていた。雨が川を押し、川が海に流れ込み、流れ込んだ川の水が海の表面を薄く覆った。塩と淡水の境目がぼんやりした。その境目あたりに魚が集まった。理由は魚に問うしかない。
大地全体が、濡れていた。
木が育つのに使った力が、実に流れた。実が重くなった。枝が垂れた。垂れた枝を食う者が来て、食った後の種を遠くに落とした。落とされた種が翌年に芽吹いた。芽吹いた場所で、また獣が集まった。連鎖がゆっくりと広がった。この星はその連鎖の全長を知っていた。始まりも終わりも、この星の皮膚の上にあった。
一方で、争いは静かに育っていた。
丘の踏み跡は増えた。二集団の踏み跡が同じ泥の上に重なる朝があった。重なった跡のそばで、折れた枝があった。折れ方が、風でなかった。折れた断面が白く、新しかった。
それだけのことだった。しかし、この星はそういう白い断面を知っていた。それが何の始まりになるかを。
風が、丘の方から吹いた。
東の方角から。煙の混じった、人の匂いのする風が。
この者の鼻の穴が動いた。一度。それから止まった。
その匂いに名前はなかった。しかし匂いは確かにそこにあり、与えるものはその匂いが運ばれてきた方向を、風でもう一度なぞった。
この者は顔を上げた。それだけだった。また下を向いた。
*同じ方向に、何度でも。次に渡すべきものは、あの丘の上に立つことかもしれない。そこから見えるものを、この者はまだ見ていない。*
実が落ちていた。
踏まずに拾った。口に入れた。甘かった。
もう一つ探した。また甘かった。三つ目を探しているうちに、東から風が来た。
この者の顔が上がった。鼻が動いた。
丘を見た。
しばらくそこに立っていた。それから実を探すのをやめて、寝床に戻った。