紀元前297,125年
台地の上に雨が降っている。
赤い砂が水を吸い、足跡を埋める。大きな足跡が先にあり、小さな足跡がその後ろに続き、途中で消えている。消えたのではない。方向が変わったのだ。
湿地の縁では、別の群れが獲物の腸を石の上で開いている。臭いが風に乗る。遠くの丘の上では、四本足の影が七つ、動かずに立っている。
集団の中で、皮を剥ぐ者と皮を受け取る者とで、声の高さが違う。受け取りを拒む唸りが一つ。それから沈黙。
同じ水場を知っている者たちが、異なる側から近づいてくる。
どちらも引かない。
枯れ枝が一本、水面に浮いている。両側からの波紋が、真ん中でぶつかっている。
台地の向こう、大きな集団の野営地では、子どもが火の縁に近づきすぎて叩かれた。泣き声が上がった。それから静かになった。夜が深くなるにつれ、焚き火が小さくなる。
誰かが薪を足す。
誰かは足さない。
糸が繋がった。
焦げた煙の匂いを、その者の鼻孔のあたりに漂わせた。
右の方から。
集団の火ではない匂い。遠い方向の、知らない火の匂い。その者が鼻を動かした。
渡した。
問い:煙の匂いは、危険を告げるか、温もりを告げるか。それを分けるのは何か。匂いそのものではない。それを知っている者とそうでない者がいる。次に渡すべきは、記憶の種類の違いかもしれない。
八歳のとき、その者は火の番を任されなかった。
小さすぎる、と大人が手を振った。その動作の意味はわかった。離れろ、ということだ。
だからその者は離れた場所から火を見ていた。炎の形が変わるたびに、体の前面が熱くなり、背中が冷えた。前と後ろで温度が違うと、何かが落ち着かない気持ちになる。その者はそれを何と呼ぶ言葉も持っていないが、体は知っていた。
十歳のとき、水場で別の集団の子どもと目が合った。
相手は石を持っていた。その者も石を持っていた。どちらも投げなかった。どちらも動かなかった。風が左から吹いて、相手の匂いが鼻に届いた。その者は知らない匂いだと思った。相手も同じことを思っているかもしれないと、その者は思わなかった。ただ匂いを嗅いだ。
大人が来て、その者を引っ張った。
石は持ったままだった。
十二歳になる少し前、集団の中に緊張が走った。
何かをめぐって、大人たちが声を荒げた。誰かが誰かの腕をつかんだ。誰かが突き飛ばされた。その者は端の岩の陰に入り、膝を抱えた。膝頭が顎に当たった。
その者は何も見ていなかった。
音だけを聞いていた。
声の大きさ、足音の数、方向。その者の体は、それらを整理する前に、先に感じていた。危ないか、まだ大丈夫か。体が先に決めていた。
ある朝、焦げた煙の匂いがした。
集団の火ではない。風の向きから、遠い方から来ていた。その者は顔を上げ、鼻を動かした。大人たちはまだ動いていなかった。その者だけが、少しだけ立ち上がった。
大人の一人が振り向いた。
その者の顔を見た。
それから、その者が向いていた方向を見た。