紀元前295,925年
噴火から五日が経った。
地面はまだ温かい。足の裏ではなく、膝をつくと伝わってくる。地下のどこかがまだ動いている。岩盤の深いところで、何かが収まりきれないでいる。
丘の南斜面、灰が積もったままの斜面に、小さな亀裂が走っている。幅は指二本ほど。そこから湯気ではなく、硫黄の匂いだけが漏れている。音はない。匂いだけがそこから来る。草の焼け跡には白い粉が薄く降り積もり、雨が来ないため流されない。風が吹けば舞い上がり、また落ちる。
集団は二手に分かれていた。
北の岩壁の下に十数人、南の窪地に残りの大半。北の組は旧人の群れと近い位置にいる。旧人たちは噴火の前からあの斜面を使っていた。水場を知っていた。今も動じた様子がない。子どもを背に担いだまま、灰の地面を歩いている。
南の窪地の者たちは、火を絶やさないでいた。
噴火の夜に燃え移った枯れ草から薪に移した火。それを五日間、継ぎ足し続けた。火を囲む者たちの顔に表情らしいものはない。疲れているのか落ち着いているのか、外からは見えない。腹が減れば立ち上がり、草の実を探しに行き、戻ってくる。子どもが泣けば抱く。火が小さくなれば枝を足す。それだけの五日間だった。
一人の成人が戻らなかった。
三日目の朝に草の実を探しに北へ向かい、夕方になっても来なかった。夜が来た。翌朝も来なかった。誰も探しに行かなかった。探しに行く者と残る者を区別する言葉が、まだない。ただ誰かが立ち上がりかけ、また座った。それだけだ。
灰の平原の向こう、旧人の影が動いている。
遠すぎて声は届かない。姿の輪郭だけが見える。大きい。肩の幅が違う。歩き方が違う。しかし火を持っている。火を運んでいる。枝の先に炎を乗せて、歩いている。
南の窪地の者たちはそれを見ていた。
見て、何も言わなかった。言う言葉がない。しかし何人かが同じ方向を向いて、同じ時間だけ立っていた。それは一種の合意だったかもしれない。あるいは偶然だったかもしれない。
夜になった。
空は澄んでいた。灰が大気の高いところに漂っているため、星が滲んで見える。輪郭のない光の粒が、空に貼りついている。誰もそれを見上げていなかった。疲れていたからではなく、見上げることに意味があるかどうかを、まだ知らないから。
亀裂から漏れる匂いが、夜に変わった。
硫黄ではない。湿った土の匂い。雨の前の匂い。まだ雨は来ていない。しかし、その匂いがする方向から風が来ている。
この者の鼻が動いた。
それだけだった。次の瞬間、火に枝を足した。匂いのことを忘れた。
渡せなかった。それとも、渡したのか。匂いは消えた。雨が来るなら明日だ。この者が雨の前に何かを動かすかどうか、まだわからない。わからないまま、次に渡すものを考えている。
枝を折る。折れた端を火に差し込む。燃えるのを見る。引く。また差し込む。
それを繰り返している。
火が大きくなったとき、少しだけ顔を上げた。旧人の影がまだ動いている。この者はその方向を向いたまま、次の枝を探して手を伸ばした。