紀元前294,365年
灰が三日降り続いた。
草原の表面が白くなった。水場の水面に灰の膜が張り、飲もうとした獣が首を引いた。風は東から来た。その者は朝の火を絶やさないために、濡れた皮で炉を囲い、自分の体で風を遮った。灰が口に入った。吐いた。また体を向けた。
集団は東へ行かなかった。
大きくなりすぎた集団の中では、声が決まる前に体が動く者がいる。北へ向かおうとする者がいた。南を指す者がいた。その者は何も言わなかった。火の番は離れられない。火が死ねば、夜が来る。
第二の星は灰の中を照らしていた。山の向こうで何かが崩れた音が、三日後にここへ届いた。音ではなく、地の揺れとして。足の裏が感じた。その者も感じた。炉の石が少しずれた。
集団の半分が北へ行った。
残った者たちで火を守った。その者は最年長に近い者になっていた。若い者が水を運ぶのを見た。子どもが灰を手で触って、舐めて、吐いた。その者は声を出さなかった。代わりに、その手を取って、川の方向へ向けた。親の腕に子どもを押し戻した。
灰が薄くなるまで十日かかった。
草が戻るまでの間、集団は根と虫で生きた。その者は皮をなめした。煙で燻した皮は灰の匂いに覆われて、獣臭さが消えた。それを巻いて寝た。頬の下で皮が冷たかった。
第二の星は、その五年間のうちに、近くの丘で別の集団が野営するのを見ていた。
旧人の集団だった。体が大きかった。額が広かった。それでも火を持っていた。赤い火だった。丘の上から見える火の色は、遠くなるほど赤くなる。その者は夜に炉の前で座って、丘の火を見た。見て、何も言わなかった。ただ、見続けた。
そこへ届いたのは、匂いだった。
風が変わった夜に、肉を焼く匂いが来た。遠い焦げの匂い。脂が落ちる匂い。獣の種類まではわからない。ただ肉だった。その者の腹が音を立てた。体が匂いの方向へ少し傾いた。傾いたまま、戻さなかった。
丘を見た。
集団の中で、誰かが気づいた。指を丘へ向けた者がいた。喉から低い音を出した者がいた。石を持った者がいた。その者は何も持たなかった。石も持たなかった。炉の番をしていたから、炉の前に立っていた。
その夜は、丘へ誰も行かなかった。
翌朝、旧人の集団の火は消えていた。移動したのか、消したのかは、分からなかった。匂いも消えた。草原に灰の残骸と、小さな黒い円が残っていた。その者は近づかなかった。しかし見た。遠くから、目を細めて見た。
五年が経った。
その者は六十七歳になっていた。冬の朝、水を運ぶ途中で足が痛んだ。膝の内側だった。止まった。水の器を置いた。膝に手を当てた。骨の中から来るような痛さだった。前の冬にも来た。もっと前にも来た。
集団の中で、若い男が二人、その者を見る目が変わっていた。
最初は言葉ではなかった。目だった。視線が変わった。その者が炉の前に座っているとき、その後ろを通り過ぎる足の速さが変わった。何かを決めようとするときに、その者の声が聞かれなくなった。
その者は気づいていた。
炉の火を見て、気づいていた。声には出さなかった。出せる声がなかった。十数の音しか持っていない。しかしその音のどれも、今は出なかった。ただ炉の前で皮をなめした。煙が目に入った。目が痛んだ。皮をなめし続けた。
ある朝、集団が動く気配がした。
全員ではなかった。半分が東へ向かって荷を持った。若い男たちが先頭にいた。子どもが数人連れられた。女が何人か。その者は炉の前にいた。荷を取り上げられなかった。炉から離すことを求められなかった。ただ、残された。
残った者たちは少なかった。
火はあった。その者が守った。水も汲んだ。足が痛んでも汲んだ。冬の終わりに、残った集団の中で子どもが一人、熱を出した。その者は皮を巻いて子どもを覆った。子どもは三日後に走り回っていた。
その者は六十七歳の冬が終わる前に、水場への道で倒れた。
立ち上がろうとした。膝が曲がらなかった。地面に手をついたまま、起き上がれなかった。空が見えた。灰色の空だった。残った集団の者が来て、腕を持った。引き起こした。その者は口から音を出した。特定の意味を持たない音だった。感謝でも苦痛でもなく、ただ出た音だった。
炉へ戻った。炉の前に座った。
皮をなめした。膝に石を置いて、重さで押さえながら、また皮をなめした。
肉の匂いを風に乗せた。
丘の上の火から来た匂い。遠い集団の脂の匂い。その者の体がそちらへ傾いた。石を持たずに傾いた。
それで十分だったか、と思う。石を持たなかった。それだけのことが、どれほどのことかを、私はまだ測れない。次に渡すものを考える。足が痛んでいる。皮が残っている。冬が明けようとしている。