紀元前293,165年
旧人の群れが丘の向こうに消えてから、もう陽が二度傾いた。
その者は火の傍に座っている。薪ではなく、骨だ。集団が運んできた大きな獣の骨。干ばつで木が減った。骨は長く燃える。誰かが覚えていた。その者ではない。
炎が低くなると、その者は腹ばいになって息を吹き込む。顔に熱が戻ってくる。眉毛の先が焦げる匂いがするが、それを知っていても毎回同じ角度で近づく。
集団の中で三人が病んでいる。腹を抱えて横になっている。その者は彼らの傍には行かない。近づくなと言われたわけではない。ただ行かない。体がそちらに向かない。
旧人の足跡が、今朝の水場に残っていた。大きく、深い。五つ。子供の足跡はなかった。
その者は火に細い骨を一本加える。骨髄が残っていたのか、一瞬炎が高くなる。光が広がって、向こうの岩壁を照らす。岩の影が揺れる。
その者はその影をしばらく見ている。
動いているように見える。獣の形ではない。人の形でもない。ただ揺れている。
その者は座り直す。膝を胸に抱える。火の音だけがある。
旧人の群れのことを考えているのかもしれない。考えていないのかもしれない。その者の顔は火の方を向いたまま、何も変わらない。
骨が崩れる。炎が低くなる。また腹ばいになって、息を吹き込む。
乾いた大地が、ゆっくりと戻り始めている年だ。
干ばつは峠を越えた。水場に水が戻り、草が土の割れ目から顔を出した。しかし集団はすでに小さくなっている。飢饉の年に生まれた子の多くは育たなかった。病んだ者が三人いる。そのうち一人はもう食べていない。
旧人の群れとこの集団は、同じ水場を使い始めている。昼と夜で時間を分けているわけではない。ただ鉢合わせを避けている。互いに避けている。言葉はない。目が合うことが、ある。それだけだ。
丘の向こうと手前で、同じ火が燃えている夜がある。どちらの火も骨を燃料にしている。木が減った結果として、同じ方法に至った。それを互いは知らない。
集団の緊張は火の番をする若者の背中にも宿っている。声にはならない。眠りが浅い。病んだ者に近づかない体の判断。足音に耳が立つ。
679という数は、この星の上では非常に小さい。しかし今夜の火の傍では、ひとつの数だ。一人が燃やし続けている炎と、眠っている声と、崩れる骨の音がある。
炎が高くなった一瞬、影の形に光を落とした。
その者は岩壁を見た。しばらく見ていた。それから目を戻した。
それで十分だったのか。わからない。ただ——次に渡すべきものがある、という感覚がある。形はまだない。影を見た目が、次に何を見るか。それを待っている。