紀元前293,045年
川が三日、鳴り続けた。
岸辺の葦は夜明けのうちに根ごと引き抜かれ、濁流は音ではなく重さとして届いた。大地の低い側から、水はまず地面を舐めた。足首。膝。腰。逃げた者は丘に向かい、丘のない場所にいた者は木に登り、木のない場所にいた者は何もしなかった。
水は選ばなかった。
老いた者の寝ていた窪みにも、生まれたばかりの者を抱えた腕の先にも、同じ速さで満ちた。逃げた者が振り返ったとき、後ろに続いていたはずの足音は聞こえなかった。水の音だけがあった。
この星は見ていた。
同じ頃、遠い砂の大地では旧人が泉のそばで眠り、その喉が静かに動いていた。眠りは深かった。洪水を知らず、失われたものの数を知らず、次の朝に目覚めた。
始まりの大地では、集団がかつての三分の一ほどになった。
生き残りは丘の上で互いの顔を見た。知っている顔が半分になっていた。子どもの顔がほとんど消えていた。泥は乾いた。水の引いた跡に、かつて火を焚いていた場所の炭が白く残っていた。使えるものは何もなかった。石器は流された。皮は流された。干した肉は流された。
集団は黙って立っていた。
一人の年老いた者が、丘を下りて泥の中を歩いた。戻ってこなかった。探しに行った者もいなかった。それだけのことだった。
数日後、生き残りのなかに緊張が走った。食料がなかった。水場が変わっていた。川の流れが変わっていた。かつて魚を獲っていた浅瀬は深くなり、かつて歩いて渡れた場所に渡れなくなった。
集団の中で声が上がった。誰かが誰かを指した。
その者が指された。
十一歳の、まだ体の小さいその者が、何かを知っていると思われた。それが何かは誰も言えなかった。知っているという感触が、集団の中に漂っていただけだった。排除の理由は、いつも明確ではない。
泥の上に、太陽が斜めに当たった。
光が強くなった場所に、浅い水溜まりがあった。その縁に、小さな草が一本、まだ立っていた。根が泥に残り、葉が光を受けていた。
その者は光の中の草を見た。それから、集団の声を聞いた。光より声のほうが大きかった。
草は踏まれた。
踏んだのはその者ではなかった。それで十分なのか、十分でないのか。渡したものが踏まれた場合も、渡したことは消えない。次に渡す場所を、まだ探している。
声が自分に向いていることはわかった。
体が小さかった。走れば逃げられた。だが走らなかった。泥が足に絡んだ。声が近くなった。誰かの手が肩を掴んだ。そのまま、丘の縁に向かって引かれた。
押された。
斜面を転がり、泥の中に顔が埋まった。動こうとしたが、腕が動かなかった。
水が口に入った。