紀元前292,685年
北の稜線では、雪が積もった岩棚から雪崩が落ちた。音は谷に響き、二日間消えなかった。その麓に暮らしていた一群は、荷物を抱えて東に移動した。子どもを背に負った者が先を歩き、老いた者が後ろをついた。
南では乾季が長く続いていた。川が細くなり、底の砂が白く乾いた。水辺に集まる獣の数が増え、そこに人の集団も寄った。旧人の群れと人の群れが、同じ水場で向かい合う日が続いた。どちらも飲んで、離れた。
海岸線では、潮が引いた浜に貝が打ち上げられた。子どもたちが拾い、火で炙って食べた。老いた女が子どもの背丈を岩に刻んでいた。去年の刻みより高いところに線を引き、しばらく岩を見ていた。
集団の緊張は、水の匂いのように空気に混じっていた。どの集団も、遠くに人の影を見ると立ち止まった。石を握る者がいた。子どもを後ろに隠す者がいた。しかし近づく者はいなかった。離れたまま、それぞれの方向へ消えた。
煙の匂いが風で運ばれてきた場所があった。
その者は鼻を動かし、しかし立たなかった。
別の集団の煙か、獣が燃えた後か——どちらでも構わないと思っていたか、それともただ疲れていたか。渡したかったのは匂いの方向だった。次に渡すなら、足の判断を待たず先に動く者の何かを見せたい。
朝、火が小さくなっていた。
その者は起き上がり、枯れ枝を折った。折り方が悪くて指を打った。痛みより音が先に来た。集団の誰かが寝返りを打ち、また静かになった。
火が戻ると、煙が低くなった。風の向きが変わった証拠だと、その者は知っていた——知っていたというより、体が知っていた。
腹が鳴った。昨日の干し肉はもうなかった。その者は岩の方へ歩き、そこに置いてあった骨を手に取った。舐めた。塩の味だけがした。置いた。
風が変わった側に顔を向けると、遠くで何かが燃えている匂いがした。
鼻の穴が広がった。
立とうとして、膝に手をついた。膝の皮が硬かった。その者はしばらくそのまま、膝の上に両手を乗せていた。
立たなかった。
火の傍に戻り、枝をもう一本折った。今度はうまく折れた。火の中に入れると、先端が黒くなり、赤くなり、炎を出した。その者はそれを見ていた。
集団の中で最初に動いたのは別の者だった。老いた男が立ち上がり、水を汲みに行った。その後ろを子どもが二人ついていった。その者は火のそばに残り、燃える枝の端が崩れていくのをただ見ていた。
匂いはもう消えていた。