崖の裂け目から砂が落ちる。
細く、途切れなく、風が止んでも落ちる。
その者は崖の下に立ち、上を見ていた。
首が痛くなるまで見ていた。
砂は顔に当たった。目を細めた。それでも上を見た。
同じ時、草原の向こうで旧人の群れが移動していた。
足音は重く、踏み固めた土に残った。
その跡を、この星の小さな虫が横切った。
虫は跡の端で止まり、向きを変えた。
その者の集団は川の曲がりに沿って野営していた。
子どもたちは水際で石を投げ、大人たちは皮を引っ張って乾かしていた。
その者だけが崖に近づいていた。
誰も呼ばなかった。
旧人の群れと、その者たちの集団の間に、距離がある。
二日分ほどの草原が挟まっていた。
しかし風は共通だった。
同じ向きから、同じ温度で、両方に当たっていた。
その者は崖の根元に手を触れた。
岩は温かかった。昼間の熱がまだそこにあった。
掌を離す気になれなかった。
夜になった。
集団の火は小さかった。燃料が少ない。
誰かが遠くの茂みまで枝を拾いに行き、腕に抱えて戻ってきた。
火は少し大きくなった。
旧人の群れも火を持っていた。
見えない距離で、草原の闇の中、二つの火があった。
その者は火の縁に座っていた。
火を見ていなかった。
崖の方を見ていた。もう真っ暗で、何も見えなかった。
年が変わった。
乾いた季節が来た。水場が縮んだ。
その者たちの集団は上流に移動した。
足の裏に砂が刺さった。子どもの一人が泣いた。背負われた。
旧人の群れも動いていた。
別の方向に、しかし同じ水を求めて。
この星の上で、二つの群れが同じものを必要としていた。
岩の多い丘の裏と表で、それぞれ別の岩陰に泊まった夜があった。
その夜は静かだった。
お互いに気づかなかった。
その者はその夜、岩陰で眠れなかった。
体の内側が騒いでいた。
何かが来る前のような感じだった。
来なかった。
朝になった。
また年が変わった。
集団の中に緊張があった。
旧人の群れが近いという感覚を、大人たちが持ち始めた。
足跡を見た者がいた。大きかった。向きが自分たちの方を向いていた。
男たちが石を持つようになった。
移動のとき、前を歩く者と後ろを歩く者が増えた。
その者も石を持った。
重かった。持っていると安心した。
旧人の群れは川下に移動した。
理由はわからない。
その者たちの集団の方向からは、遠ざかった。
緊張は残った。
足跡の記憶は残った。
石を持つ習慣は残った。
その者は石を握ったまま眠るようになった。
最後の年、雨が多かった。
川が溢れた。野営地が水に浸かった。
集団は高い場所に移動した。
泥の上を歩いた。子どもたちは笑った。大人たちは笑わなかった。
その者は笑った。
それから泥の深さに足を取られ、転んだ。
起き上がって、また笑った。
高い場所に着いた。見晴らしがよかった。
草原が広く見えた。川が光っていた。
その者は長い間、そこから草原を見た。
旧人の群れはどこかにいた。
この星の上のどこかに、別の火があった。
見えなかった。
その者は石を草原の方向に投げた。
届かなかった。当然だった。
それでも投げた。