紀元前292,205年
草が腰まで伸びた平地で、集団は動いていた。
豊穣が続いて三年になる。川は細く分かれながら低地に広がり、魚が群れていた。岸辺の泥は踏むと足首まで沈んだ。子どもたちが泥を投げ合い、年嵩の者がそれを叱り、また泥が飛んだ。
北の斜面では別の集団が動いていた。彼らの体つきはここの者たちより太く、額が低い。声を出す。歌う。しかしここの者たちの歌とは違う旋律だ。互いの境界は川筋だった。今は雨季で、川が増水している。どちらも渡らない。
遠く東の乾いた高地では、別の群れが移動していた。数は少ない。子どもを二人連れた成人が三人。獣の皮を背負い、石の多い斜面を歩いていた。夜になると三人は背中を合わせて眠った。
この星の上では今夜も火が複数燃えている。川沿いに、丘の上に、洞窟の口に。それぞれ別の者たちが別の理由で火を守っている。
乳を飲んでいる者がいる。石を打っている者がいる。死んでいる者がいる。
星はそれをすべて照らしている。区別しない。
水面に光が落ちた。
揺れる水の光が、運ぶ者の首すじを伝い、その者の閉じた目蓋の上まで届いた。
この者は目を開かなかった。しかし眉が動いた。
光を受けて届いたか、届かなかったか、私にはわからない。ただ、眉が動いた。次に渡すべきものは何か——光ではない気がした。もっと遅いもの。もっと重いもの。
運ばれていた。
揺れるたびに、熱が増した。喉の奥が濡れていた。泣くほどのものではない。泣くという行為をまだ知らない。ただ音が出た。
運ぶ者の首から汗の匂いがした。温かい匂いだった。
水面の光が目蓋に触れた。その者の眉が、一度だけ動いた。
光が消えた。影が来た。木の下を通り過ぎた。
その者の喉がまた音を出した。意味ではなかった。
運ぶ者が足を止めた。片手で背中を叩いた。軽く、繰り返し。音が止んだ。
また歩き始めた。世界が揺れた。