紀元前292,085年
乾季が来た。
草が黄く倒れ、泥が割れて、白い筋が大地を走った。その者は丘の中腹で座っていた。荷はもうない。昨日、年上の女が取り上げた。軽くなった背が、かえって頼りなかった。
喉が痛かった。
数日前から始まっていた。唾を飲むたびに、砂を押し込むような感触がある。熱は体の芯から湧いて、夜は地面に頬をつけないと眠れなかった。
群れは動いていた。前を行く者たちの足音が、乾いた土の上で鈍く響いた。その者はついていこうとした。立った。三歩歩いた。四歩目が出なかった。
膝から崩れた。
誰も振り向かなかった。
川床の跡に、水はなかった。石だけが残っていた。丸くなった石、細長い石、白い石。その者は一つを拾い上げた。なぜ拾ったのか、わからない。ただ手の中に収まる重さが、今は何か正しいものに思えた。
石を握ったまま、横になった。
空が白かった。雲はなく、光が均等に広がって、どこにも影がなかった。遠くで誰かが叫んでいた。子どもの声か、鳥の声か、区別がつかなかった。
風が来た。
その者の頬に触れ、通り過ぎた。
熱が体から少しずつ抜けていくような感覚があった。それが熱の終わりなのか、それとも別の何かが終わろうとしているのかは、その者には判断できなかった。判断するための言葉を、その者は持っていなかった。
握った石が、指の間でわずかに動いた。
力が抜けたのだった。
石は転がらなかった。手のひらの窪みに留まったまま、その者の体と一緒にそこにあった。
北の台地では二つの群れが同じ岩場に近づいていた。どちらも水を求めていた。先に着いた方が飲んだ。後から来た方が石を拾い上げた。岩場の横で、誰かが叫んだ。その声は台地の端まで届いて、それから消えた。水は岩の割れ目から静かに湧き続けた。
空から光が落ちた先に、石があった。その者の指はそれに触れた。何かが届いたのか、届かなかったのか、与えるものには判断できなかった。
石の上に光が残ったとき、群れの中の別の者が、光がそこにあることに気づいた。
糸は別の誰かへ向かった。